令和元年12月20日、北栄町議会全員協議会において「気候非常事態宣言」を表明しました。

 世界各地で増え続ける異常気象は気象災害の激甚化や自然環境の劣化などを引き起こし、気候変動は人類の生存を脅かす脅威となっています。

 北栄町は、気候非常事態を宣言し、豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくため、2050年までに北栄町におけるゼロカーボン(人為起源のCO₂の実質排出ゼロ)を目指して取り組みます。

 町民・町内の事業者の皆さまは、気候非常事態の認識を共有いただき、一体となって町の取り組みにご協力いただきますようお願いします。

 また、他の地方自治体や各種団体おかれましても、次世代に美しい地球を残すため、連携して積極的な温暖化対策をより一層進めていただきますようお願いします。

北栄町気候非常事態宣言

 世界各地で記録的な高温、大雨、大規模な干ばつ等の異常気象が増加しており、WMO(世界気象機関)は、これらの増加傾向が長期的な地球温暖化の傾向と関係しているとの見解を示しています。近年、我が国においても猛暑、台風の大型化、集中豪雨等の気象災害が頻発しており、本町もそれらの影響を受けています。気候変動は気象災害の激甚化、自然環境や生態系の劣化、健康リスクの増大、農林水産業への悪影響などをもたらす、人類の生存基盤を根本から揺るがす極めて深刻な問題です。

 気候変動の脅威に世界全体で対応するための国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを目的としています。201810月に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)1.5℃特別報告書においては、世界の気温上昇は既に約1.0℃に達していること、地球温暖化を1.5℃に抑えるためには人為起源のCO排出量を2050年頃までに実質的にゼロにする必要があること等が示されました。

 どれだけ気温が上昇するかは過去から将来にかけてのCO₂の累積的な排出量によって決定されることから、パリ協定の目的を達成するためには、世界全体であらゆる関係主体が直ちに抜本的な削減策を講じ、それを継続的に進めていくことが非常に重要です。また、再エネ・省エネの推進が地域経済の好循環を生み出すなど、適切に設計された気候変動対策は経済・社会面における課題の解決にもつながり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するものとなります。

 本町は白砂青松の景色が広がる砂丘地帯や肥沃な黒ぼく畑の丘陵地帯などの自然環境に恵まれ、それらの地域からは魅力ある様々な農産物が生み出されており、次世代にもこの豊かな環境を引き継いでいく必要があります。また、本町は9基の風力発電施設の運営をはじめとして、積極的に環境政策に取り組んできた町でもあり、気候変動対策への強い意志を持っています。

 このような背景から、本町は気候変動が人類にとって著しい脅威となっていることを認識し、ここに気候非常事態を宣言するとともに、2050年までに北栄町におけるゼロカーボン(人為起源のCO₂の実質排出ゼロ)を目指して次の活動に取り組みます。

  1. 徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の活用を行います。それらの取組を、地域でお金が回る仕組みづくり、防災にも役立つ分散型エネルギーシステムの構築等、経済・社会面の課題の解決にもつなげていきます。また、町民が積極的に参加できる仕組みの構築や、事業者・関係自治体等様々な主体との連携に努めます。
  2. 気候変動問題に関する普及啓発や教育に努め、日々の生活での省エネや4Rの徹底を一層推進するとともに、断熱性能に優れた省エネ住宅での暮らし、地産地消を含めたエシカル消費など、気候変動対策に資する快適で魅力あるライフスタイルを広めます。
  3. バイオマス資源の活用を含めた森林資源の適切な管理や、農地の適切な保全を行うことで良質な森・川・里・海のつながりを守り、次世代に豊かな自然環境を引き継いでいきます。
  4. 行政が率先して模範を示すべく、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体実行計画を抜本的に見直すとともに、持続可能な発展を見据えた公共施設・インフラのマネジメントの実施など、町のあらゆる行政分野において気候変動対策に資するよう政策をデザインします。また、日本政府や他の地方自治体にも更なる気候変動対策について積極的に呼びかけ、広く連携していきます。

令和元年(2019年)12月20日

北栄町長  松本 昭夫

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世界気象機関(WMO)

気候変動

パリ協定

IPCC1.5℃特別報告書

CO₂(二酸化炭素)累積排出

SDGs(持続可能な開発目標)

ゼロカーボン

4R

エシカル消費

バイオマス

地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体実行計画