今回は「上種五輪塔」について紹介するわよ。


 この五輪塔は高さ159.6㎝で凝灰石製の路盤式五輪塔(火輪の上部に層塔の屋根のように路盤を刻みだしている)なのよ。築造は鎌倉時代後半と推定されるの。

 五輪塔は日本では平安時代末期から供養塔、供養墓として多く見られるようになるの。一説に五輪塔の形はインドが発祥といわれていて、本来舎利遺骨)を入れる容器として使われていたけど、インドや中国、朝鮮に遺物は存在しないのよ。だから現在では経典の記述に基づき日本で考案されたものとの考えが有力のよ。


 上種五輪塔は三石で構成されていて、火輪以上が一石で彫成され、火輪と水輪の接合は重ねているだけなのよ。梵字は各輪四面に薬研彫りされているわ。全体を見ると、水輪が大きすぎるように見えるけど、同時期とみられる大日寺(倉吉市桜)五輪塔も同様の形態で、これはこの地域の特色なのよ。

 

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